COLUMN
コラム
建築洋風の家に欠かせない、レンガ積みの施工。
レンガを取り入れることで実現する空間。〈施工例付〉
いろいろなお家が浮かぶと思いますが、「洋風」+「レンガ積み」なんていかがでしょうか?
レンガは、紀元前4000年頃の古代メソポタミアには既に存在していたそうです。当時は、乾燥させただけの日干しレンガだったものが、やがて焼成レンガが使用され始め、やがて湿式法を用いて焼成されたレンガも使用されるようになったそうです。その後、エジプトから煉瓦技術が地中海沿岸やインド、中国に伝わっていったと考えられています。最も古いピラミッドの中には、内部の壁に乾燥煉瓦を使い、外側を石で仕上げてあるものもそうです。
こうしてレンガは、現在に至るまで世界中で使用されています。
日本でレンガ造りの建物がつくられ出したのは、江戸時代の末期、長崎につくられた海軍伝習所が最初のようです。現在使用されているものより薄く、その形状から、「こんにゃく煉瓦」ともばれたそうです。
そんな歴史を持つレンガですが、洋風のお家に採り入れると、どんな効果があるでしょうか?
また、近年の住宅選びの要点の一つとなっている、耐震性能や断熱性能などはどうでしょうか?
本物のレンガの家を建てるには、やはりレンガの特長やメリット、デメリットなどを知っておくことが大切です。
今回は、長年の経験と豊富な施工事例から、高増工務店のレンガを使ったお家づくりをお伝えします。
目次
「洋風の家」と「レンガ積み」の切っても切れない関係
西洋で生まれ長い歴史を持つレンガは、洋風の家との相性がバッチリです。
例えば、門柱、門柱から玄関までのアプローチにレンガを使うと、それだけで洋風の風が吹いてきます(笑)
建物の外壁すべてに使わなくても、アクセントとして使うのも個性が前に出る建物を演出できます。
インテリアに採り入れることもよくあります。暖炉やキッチン周りなどいろんな所に取り込むことで、日本式の家屋にない趣と雰囲気をつくりだす空間になります。最近では、薪ストーブの流行もあって、リビングの一部にレンガを取り入れることも多くなりました。
焼き上げてつくるレンガは、色がすべて同じではないので、積み上げることで、独特のテイストを創り上げ、デザイン性も高めてくれます。
もちろん、レンガを使わず、洋風の家を作ることもできます。ですが、レンガの持つ重厚感、高級感は、他の素材では、なかなか置き換えることはできません。また、近年では、レンガのようなレンガ調のサイディングも利用できますが、本物ではないため、醸し出す雰囲気も耐久性などの性能も遠く及びません。
エクステリアにもインテリアにも大人気のレンガですが、今回はエクステリアに重点を置きお伝えします。
日本の風景にもなじむレンガってどんなレンガ?
製法や用途によっていろんな分類がされるレンガの種類
レンガは、製造方法によって大きく二つに分類されます。
- 日干しレンガ
日乾レンガと表記されることもある日干しレンガは、粘土を固めた後に天日で2〜3日乾燥させて造るレンガです。よく成形して乾燥させた日干しレンガは、見かけより耐候性に優れているといわれています。 - 焼成(焼き)レンガ
粘土状の生地を寝かせた上で、数日かけ乾燥させ、仕上げに高温で焼き上げたものです。生成までに手間も時間もかかる反面、日干しレンガに比べ、水に強くなります。
用途によって分類することもできます。
- 普通レンガ
一般に「赤レンガ」と呼ばれているタイプのものです。 - 耐火レンガ
1000℃以上の耐火性があるレンガです。普通レンガに比べて耐火性はありますが、水には弱くなります。 - 建築用レンガ
高い強度や吸水性を特長にもちます。一般的に建物の外壁によく使われます。 - 空洞レンガ
採光や通風と目隠しの用途に使います。デザインされたものが多いので、外構などのアクセントに使われることが多いです。 - エコレンガ
近年よく聞くレンガです。原料の80%以上が、他の産業からの廃棄物や副産物を利用して生成したレンガです。焼くために化石燃料を使用しないので二酸化炭素の排出を抑えたレンガです。
このほか、古い建物を解体したときにでるレンガをそのまま使用し、その年月が醸し出すその風合いで人気の「アンティークレンガ」、やわらかい質感や表面がでこぼこしていて、いわゆる「赤レンガ」だけでなく、黒やベージュなど色彩のバリエーションが豊富な「ベルギーレンガ」、広大なオーストラリアで採取される高品質な赤土を高温で焼いた「オーストラリアレンガ」などもよく聞かれるレンガです。
アメリカ産タンブルレンガを採用している理由
高増工務店で採用しているレンガは、「アメリカ産タンブルレンガ」です。
1200℃以上の超高温で焼き上げているため、耐水性に優れていて、雨水などにも強いです。
耐久性も高いので、建物に使用するのに適しています。
角は丸く、表面の風合いは、あえて年月の経過した枯れたディティールを表現しているので積上げた時の素材感は、他のレンガでは、なかなかつくることのできない空間を演出してくれます。色も単一ではなく、濃淡や色相も多いので使う場所によって、色彩の面からもオシャレなイメージを構築します。
また、品質管理が徹底されているアメリカ産であるため、一つ一つのレンガを無駄なく使用することができ、他のレンガを使うよりコスト的にも非常に優秀です。
レンガ積みの家のメリット
重厚感、高級感をまといつつ、温かみを醸す素材
まるで、異国にいるかのような錯覚をおこす、レンガ積みのお家。
重厚さが独特の風格を感じさせてくれます。アンティークな趣とともに手積みであるため、高級感も兼ね備えています。
デザイン性も高いため、仕上げ方によっては、アンティークだけではなく、現代風のスタイリッシュなイメージや他にはない個性の演出、温かみのある空間も構築できます。
劣化が少なく、メンテナンスコストが低い
自然の素材から生成されるレンガは、「紫外線に強い」「腐食がおこりにくく、カビの発生も少ない」特性を備えるため、耐久性は、50年とも100年以上ともいわれています。
一般的な住宅の外壁は、一定の期間(10年に一回程度)で、再施工などメンテナンスを必要とする場合があります。レンガの外壁は、塗装する必要もなく、経年により風合いを増していきます。
レンガの家は、外壁に関するランニングコストが抑えられるため、一般的な住宅のランニングコストにくらべ、長い目で見ると非常に経済的なお家であると言えるでしょう。
耐熱性耐火性に優れ、そして耐震性も
レンガの中には、小さな気泡が無数にあります。この気泡が空気で満たされるため、空気の層が形成されます。暖かい空気も冷たい空気もその層により遮られるので、夏は、エアコンなどで冷やされた空気を外に逃がすことが少ないです。 レンガの家は、一間、「冬は寒いのでは?」といわれることがありますが、夏と同じように、今度は温めた空気を外に逃がすことが少ないので、暖かく過ごすことができるのも大きな特長です。こうした特性から、冷暖房費の節約にも一役買うことになり、メンテナンス以外でも経済的なお家となり得ます。
倉庫にレンガが利用されているのも、こうした理由のためです。
焼成されているレンガは、耐火性能も高く、耐熱温度は、1350℃以上(耐火レンガ)とも言われています。一般的な建物火災は、出火後7〜8分が最盛期でそのときの室内温度は、1100℃〜1200℃といわれています。従って、耐火レンガでなくても1000℃以上で焼き上げられる普通レンガでも耐火性能は高いです。
高増工務店では、地震などの外力、ゆれに対して基礎とレンガ壁が互いに干渉し合わないように、また構造体とレンガ壁が干渉し合わないように互いを分離することで外力のパワーを逃がしています。それはレンガの壁が空中に浮いているような構造(中空粗積工法)。認証機関の耐震実験で安全性を実証された高増工務店のレンガ積みの家は地震に強い家です。
レンガ積みの家のデメリット
リフォームが難しい
レンガの家は、外壁のレンガを一段一段積み上げてつくっていきます。そのためその作りはとても頑丈です。その一方で頑丈さゆえにリフォームが難しくなることもあります。
一つ一つのレンガの間は、モルタルで固められているので、部分的な補修でも、広範囲にわたっての補修になってしまうことも。
メンテナンスコストが低いことが、メリットですが、万が一の時は、大がかりな補修工事になってしまう可能性があることに注意してください。
蓄熱性と耐熱性
耐熱性の高いレンガは、夏や冬の過ごしやすさに一役買うことは、メリットの一つです。
ですが、耐熱性と同時に蓄熱性も持ち、内側に取り込んだ熱を長い時間逃さないため注意が必要です。例えば、夏場に旅行などで長期間家を空けたとき、昼間熱せられた室内温度が夜になっても冷えることがなく、次の朝を迎えます。こうして数日間、昼間は温められ、夜間もその熱がぬけない…が、繰り返され、帰宅したとき、暑い室内になっていることもあります。
しかし、いったんエアコンなどで冷やすとまた快適な空間になります。
対応できる業者が少ない
本物のレンガ積みの家を施工可能な業者は、日本でも数多いわけではありません。
部分的な施工であれば、可能な業者は、多々あります。しかし、家全体、外壁すべてとなるとなかなか技術的なハードルも上がり、さらに仕上がりを納得いくものにする技術をもつ職人も少ないのが、現状です。
また、構造体の施工方法によっては組み込む事が難しくなることもあります。
高増工務店は、創業以来レンガの家を研究し、多数の施工実績も積んでいます。
構造体には、レンガの外壁にと相性のいいツーバイフォーを用い、「中空粗積工法」でレンガ積みを行います。
一般的に施工費も高いイメージがあるのですが、多数の経験から、部分的にレンガを取り入れ、アクセントをくわえるなど、設計を練り直したり、施工方法を工夫したりして予算内に納めたりすることも多々あります。
「高増工務店のレンガの家はきれい」とうれしい評価をお客様からいただくことがありますが、その美しさを一手にとりしきているのが、本場カナダ出身のレンガマイスター(レンガ職人)、ダックス・スコーフィールドが、およそ20年にわたりレンガ積み専任のスタッフとして在籍しており、その技術は折り紙付きです。
ダックスの技術をちょっとだけ動画にて公開しています。
モルタルが、まるで生クリームのように自在に操り、一つ一つ積んでいく地道な作業の中にもこだわりと丁寧さが、感じ取れます。間に使うモルタルの処理の仕方も素人には難しく、長年の経験がものを言います。
YouTube動画もご覧ください
【レンガ積#38】本場カナダの職人によるレンガ積!丁寧に一つひとつ積み上げていく技をご覧ください。
確かに、デメリットもあるレンガの家ですが、洋風の家を希望されるなら、一度考慮しといて決して無駄にはなりません。
施工例
①Divine[ディヴァイン]
かつて、高増工務店のモデルハウスとして運用していた建物です。(現在はクローズ)
広い敷地に建つ洋風の二階建ての住宅です。
『家が明るすぎると月に憎まれる』というイタリアの諺があります。明るすぎる家庭というものは月の光よりも明るく、月もうらやむという意味だそうです。 たとえどんなに経済的に恵まれようとも、どんなに名声を得ようとも家庭をもった人にとって、明るい家庭に勝るものはないということですね。
Divine[ディヴァイン]は、このコンセプトから誕生した上質の住まいです。
外壁は、写真からも十分にわかる、美しい仕上がりのレンガ積み。重厚さのなかに高級感が漂う外観です。
玄関を入ると広いホールから2階へと続く半螺旋の階段。一瞬、外国にきてしまったのかと間違えてしむほどです。広いキッチンにはアイランド式の作業場も備え、料理が楽しくなる作りです。
レンガのアーチが美しい入口を持つインナーガレージには、大きなクルマも余裕を持って保管できます。キッチンに併設して、レンガ造りの釜も設置。本格的な窯焼き料理を味わえます。
キッチンの奥には、半地下のワインセラーを完備。いつでも、最高の状態でワインを保管しています。
2階には、マスターベッドルームに子供部屋。シャワールームが独立したバスルームも広々。
さらには、秘密の屋根裏部屋も…
洋風でレンガの外壁、かつ遊び心満載のお家です。
②I様邸
小高い丘の上に建つレンガのお家。風格漂う洋風の家です。
どんな方が住んでいるのか想像力をかき立てられるお家です。
門柱を含む門全体をレンガ積みにて施工しています。
玄関をくぐり丘に登るとレンガにマッチした白い手すりの階段とレンガのアーチが目を引く玄関に続きます。レンガのアーチは、室内に直射日光を防ぐ効果もあり、室内を快適な空間にする一助になっています。
斜面をうまく利用した地下室もあります。
内装も洋風の家らしくギリシャ風の柱やアーチ型の壁(R垂れ壁)を調所に施しています。
キッチンとリビングの間にある暖炉は、どちらの部屋からも開閉、使用できる珍しい暖炉です。
③K様邸
塔屋のあるお家。
シンボル的な8角形の塔屋が目を引く建物です。塔屋の部分は、下部にレンガを施し白い壁にマッチしたアクセントになっています。室内は、お客様をおもてなすティールームなっています。
石畳のアプローチからエントランスのアーチも美しく全体にピッタリです。
屋根にのるドーマー(窓)も室内に光を取り込みます。
ガレージは、全体にレンガ積み。様々な色彩のレンガを用いているため単一の色では、できない風合いを醸し出しています。
室内の壁にもレンガをアクセントに使っているので、味わいのあるインテリアに仕上がっています。
こんな洋風の家にも和室を完備しています。洋風の家でも不思議と和室はマッチします。もちろん、純和風ではなくうまく室内の調和を保つように工夫をしています。
高増工務店がレンガ積みをデザインに採り入れるときに注意していること
コンセプトにあわせたレンガの活用
高増工務店では、お客様の要望を理解し、お家のコンセプトを構築しています。
闇雲にレンガを組み込むのではなく、他の素材との調和、レンガの色彩はもちろん、レンガ積みで創り上げる造形自体も幾度となく検討します。当然、予算面での検討も欠かせません。
高増工務店には、豊富な経験と実績豊かなスタッフにより、いくつもの駒をもっています。
ですので、アイデアは無限にあると言っても過言ではありません。
こうした、検討によりお客様の希望を実現していきます。
レンガを外壁全体に施工するにしても部分的に施工するにしても、積み方、色彩の選び方で見た目はまったく変わったものになります。洋風の家に仕上げるには、公開できない独自のテクニックもあります。高増工務店は、そうしたことすべてを駆使してお家づくりをすすめています。
防水と防湿
高増工務店のレンガの家は、レンガの壁と構造体との間の雨水がコンクリート基礎へ浸透することを防ぐため、基礎の上にブルーシートをしきます。
また、基礎と鉄筋で接合されていないレンガ壁は、構造体とも全面接合されません。構造体とレンガに40ミリの隙間を設けることで、充分な壁内通気も確保しています。
レンガは恒久的な住宅素材ですが、家本体を支える木材が腐食してしまったらレンガの家も形無しです。木材の腐食を防ぐには壁内や床下に常に新鮮な空気を循環させて、湿気を屋外に排出することが効果的です。そのためにレンガの壁にも通気口や、水抜き穴を設置します。
さらに、素焼きであるレンガは、調湿作用で湿気を吸収排出しますが、梅雨時などは、水を内部にため込んでしまうことがあります。レンガ壁と構造体との間に通気層を隔てた高増工務店のレンガの家では、レンガと直接触れ合う箇所は、唯一開口部廻りだけです。この部分からレンガが溜め込んだ雨水が木材(構造体)に浸入しないように防水シートを先張り、ガードしています。
手積み作業期間の長いレンガの家は、下地シートが紫外線の影響を受けやすいため、さらにワンランク上の製品を採用しています。壁内の湿気を通気層へと排出して外の雨水はシャットアウトする優れた海外の製品です。
構造体ツーバイフォーとの相性
高増工務店のお家は、レンガの家は、もちろん、すべて、地震や台風の外力に対して極めて強い構造であるツーバイフォー(枠組壁工法)工法を採用しています。
レンガの家は「中空粗積工法」で建てられます。この「中空粗積工法」はレンガ積みの工法で、ツーバイフォーの外壁とレンガを特殊金物で結合して耐震・耐久性を高めた施工方法なのでツーバイフォーとの相性も抜群です。
高増工務店では、洋風の家やレンガの家に関するお問い合わせ、ご相談を承ります。
下記の「お問い合わせ・資料請求」「お家づくり相談」よりお気軽にお問い合わせください。・
また、完成したお家をじっくりご覧いただけるイベントも定期的に開催しています。ご都合のよいときにご参加お待ちしています。