COLUMN
コラム

建築有事に備えてできること〜いろんな「安全」を考えるお家づくり

「有事の際に」「何かあったときに」備えたお家づくりに注目してみよう
地震、紛争、大雨など、近い将来おこりうる「有事」が予測(さらには予言なども)されています。
2024年は、お正月に地震から始まり、みなさんも耐震など地震の備えの意識が高くなっていると思います。
また、ウクライナやガザ地区などの紛争も、身近なものとして捉えている方もいらっしゃいます。
「今まで経験したことのない…」という言葉も毎年のように聞かれるようになり、「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」といった少し前までは、なかったような被害も増えています。
2024年5月に連続発生した太陽フレアは、今後も発生されることが予測されていて通信インフラや電力網などに障害をおよぼすことが懸念されています。
今回は、お家の購入の際にこうした災害、紛争などに備えた家づくりを紹介していきます。

ハザードマップの見方をご存じですか?

ハザードマップについて



ハザードマップは、「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」です。
法令等に基づき体系的に自治体での作成取り組みが進められているハザードマップとして、主に以下のものがあります。
①洪水ハザードマップ
水防法に基づき、国土交通省および都道府県知事が指定する洪水予報河川及び水位周知河川に対して作成されます。
②内水ハザードマップ
内水による浸水とは、下水道の雨水排水能力を超える降雨によって、雨を河川に放流できない場合に発生する浸水のことを指します。
③津波ハザードマップ
津波ハザードマップは、甚大な津波被害が発生した2011年3月の東日本大震災をうけて制定された「津波防災地域づくりに関する法律」(2011年12月施行)に基づき、都道府県知事が定める津波災害警戒区域を含む市町村で作成されています 。
④高潮ハザードマップ
高潮とは、台風や発達した低気圧が海岸部を通過することによって生じる海水面の上昇のことを指します。
⑤土砂災害ハザードマップ
1999年の広島豪雨を契機として制定され、2001年に施行された「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」に基づき、都道府県知事が指定した「土砂災害警戒区域」を含む市町村では、「土砂災害ハザードマップ」が作成されます 。
⑥ため池ハザードマップ
2018年7月の豪雨災害(平成30年西日本豪雨)をうけ、2019年に施行された「農業用ため池の管理及び保全に関する法律(ため池管理保全法)」に基づき、都道府県知事が指定する「特定農業用ため池」(決壊した場合に周辺住民に被害を及ぼす恐れのある農業用ため池)を対象として、市町村で作成されます。
⑦火山ハザードマップ(火山防災マップ)
活動火山対策特別措置法(活火山法)に基づき、内閣総理大臣が指定する「火山災害警戒地域」を含む自治体(活火山が存在する都道府県)において、「火山防災協議会」が設置されます。
⑧地震ハザードマップ
阪神・淡路大震災をうけて制定された地震防災対策特別措置法に基づき、都道府県および市町村が作成する「震度被害(ゆれやすさ)マップ」およびそれに付随する地盤被害(液状化)マップ、地域危険度マップなどを総合して「地震ハザードマップ」と呼びます 。
このように、さまざまなハザードマップがありますが、全てが必要というわけではなく、お住まいの地域、またこれからお家を建てる地域の周辺を確認することが必要です。有事の際に、「どこに避難するのが安全か」を示すものが、ハザードマップです。定期的に更新されるものであるので、お住まいの自治体に確認して常に最新のものを確認すると良いです。
例えば、前回確認したハザードマップでは、浸水地域ではなかったのに、更新されたら浸水地域に含まれるようになってしまったということもあります。そうなると、避難場所も変わってきます。一度確認しているから大丈夫と考えずに、間を開けずに定期的な確認が必要です。

行政から手に入る資料


ハザードマップは、行政から配付されている資料です。
今まで見たことないというかたがいらっしゃったら、一度、お住まいの地域の、市役所や役場、または県庁などに確認してみてください。
ハザードマップポータルサイトでは、日本全国のハザードマップを確認できるほか、災害の種類を重ねて表示することもできますので、一度確認してみることをお勧めします。
また、お住まいの地域によっては、「防災ガイドブック」「防災ハンドブック」などを配布しているところもあります。
例えば、三重県では、「三重県防災ハンドブック」が、県庁などで配布していますし、
防災みえ.jpのページから、PDF版をダウンロードすることも可能です。

 

有事の備えとは

地震〜お家の構造


お家を購入する際の地震に対する備えは、ハザードマップや地質調査を確認した後、お家の構造を確認することになります。
高増工務店では、「ツーバイフォー工法」をベースとして、地震に強いレンガを併用することでより強固な構造になる「レンガの家」や、1stBASE、2ndBASEなどの商品をご用意しています。
詳しくは、こちら「耐震等級はどれくらい?ツーバイフォー工法を知っておこう。」をご覧ください

紛争〜シェルター


ウクライナやガザ地区だけでなく、世界では、いつどこで紛争や戦争が起こってもおかしくありません。また、隣国からミサイルが飛んでくることも想定の範囲になるかもしれません。
かつて、アメリカ合衆国とソビエト連邦が冷戦状態にあった際に、ご自宅にシェルターをつくるといったお客様もいらっしゃいました。もちろん、使わないですむのが一番いいのですが、少し工夫することで備えることができるかもしれません。
全国民あたりのシェルター普及率をみるとスイスやイスラエルは、100%、東アジアでは、シンガポール54%に対して、日本はわずか0.02%という低さです。(NPO法人日本核シェルター協会調べ/2014年)。
シェルターにもいろいろな種類があります。
①地下に埋め込むタイプ
お家の購入の際に住宅の地下をシェルターにする場合や、自宅の庭を掘って核シェルターを埋め込むことが出来るタイプです。地下に埋め込むタイプのシェルターが一番安全といわれています。
②地上に設置するタイプ
自宅の庭や母屋と併設してシェルターを作ることが可能です。母屋につなげることもできますし、別棟としたり、ガレージの一部としたりすることもできます。
③お部屋の一つをシェルターとしても使えるようにするタイプ
この場合は、床、壁、天井を強度のあるコンクリートで覆いますので部屋が狭くなります。シェルター用のドアの設置、強化ガラス(19ミリのガラス5枚重ね)等の変更も必要です。また、換気や空気清浄装置など特別なものも必要になります。
例えば、「地下室」。地中に、部屋を設けることで、通常は、防音効果が高いので、趣味のお部屋として音楽スタジオやシアタールームとして利用して、有事の際には、避難所として利用することもできます。
どのシェルターにも、水や食料や日用品の備蓄も必要になります。トイレの処理も大事なポイントですね。自家発電システムも必要になるので、蓄電池なども予め設置することが求められます。

大雨〜平屋と2階建て


ハザードマップで確認した時に、お家が浸水地域となっている場合は、平屋にするか?2階建てにするか?も大事なポイントになります。2階建ては、2階が利用できるので、高さのメリットを生かすことができます。
平屋であっても、地面より一段高くしたり、屋根に簡単出入りできる、天窓などをつけるなど、工夫の仕方で安全を確保することができます。

太陽フレア〜電気を備蓄する


2024年は、連続した太陽フレアの発生により、通常ではみられない緯度の地域にオーロラが発生ました。太陽表面の黒点の周辺で発生する爆発現象である太陽フレアが放出する電磁波や高エネルギー粒子は、最短で約8分という短い時間で地球に到達し、通信インフラや電力網などに障害をおよぼす恐れが懸念されています。
インフラ自体は、個人では難しいかもしれませんが、電力を蓄電池にいれておくことで回避できる可能性もあります。太陽光発電システムを搭載したり、プラグインハイブリッド自動車を利用して、自動車を蓄電池として使うと言った方法も考えられます。
太陽活動は2025年にかけて活発な状態が続く可能性があり、専門家は注意を呼びかけています。

 

緊急避難グッズと備蓄品を用意する

どこに置いておくのが正解??



災害や有事に備えて緊急避難グッズや備蓄品を用意している方も多いと思います。
●「緊急避難グッズ(非常用持ち出し袋)」
緊急時にすぐ持って避難できる数日分の生活に必要なものを入れた「緊急避難グッズ(非常用持ち出し袋)」
中に入れて置くものの例としては…
□水 □食品(最低3日分) □防災用ヘルメット・防災ずきん □衣類・下着 □レインウェア
□紐なしズック靴 □懐中電灯(手動充電式が便利) □携帯ラジオ(手動充電式が便利)
□予備電池・携帯充電器 □マッチ・ろうそく □救急用品 □使い捨てカイロ
□毛布 □軍手 □洗面用具 □歯ブラシ・歯磨き粉
□タオル □筆記用具
などです。このほか、貴重品もすぐに持ち出せるようにしておくといいです。
2024年1月の能登地震の際には、普段は、使っていない方でも「大人用紙パンツ」を用意しておくと非常に便利だったという話もありました。
乳幼児や高齢者には、特有の持ち物もありますので、いざというときに持ち出すものは、事前にしっかり吟味して用意して置くことが大事です。ですが、何でもかんでもになってしまうと、持ち出すのもたいへんになってしまうので、必要最低限でかつ持ち運びをしやすくまとめることも必要になります。
「緊急避難グッズ(非常用持ち出し袋)」は、玄関、リビング、寝室など、すぐ持ち出せるところに保管するのが○。ただし、夜間はすぐ使えるように懐中電灯はベッドの近くへ置いたり、用途に合わせてアレンジしておくと安心です。
●備蓄品
□食料や水(最低3日分。できれば1週間分)×家族人数分
□生活用品(ティッシュ、トイレットペーパー、ラップ、ゴミ袋、ポリタンク、携帯トイレなど)
少量の水でお米が炊けるグッズなども用意しておくと便利です。
食品は、ローリングストック(賞味期限を確認して、古くならないように新しいものに更新して備蓄する)が必要になります。
「備蓄品」は分散して保管するのが基本。万が一お家が倒壊したり家具が倒れたりしても、どれかは確実に取り出せるように、玄関、寝室、リビング、キッチン、押入れ、クローゼット、車庫、車内、物置、ベランダなどへ分けて置いておくと安心です。
取り出しやすい玄関などを中心に考え、その際に玄関脇に収納があると更に便利です。ベランダに置く場合は、地震などで落下して階下や周囲に危険が及ばないように対策が必要です。ウッドデッキに備蓄ボックスをおくのもいいです。
水や食品などの重要なものを分散し、カセットコンロなどのたくさん用意しなくてよいものは、取り出せる可能性が最も高い場所にまとめておくなど、用途に合わせて置き場所変えることも重要です。

電気の備蓄


近年、オール電化住宅の普及により、お家に「蓄電池」を備えることが多くなりました。
電気自動車の中には。有事の際に自動車の蓄電池から電気を引くことができるものもありますので、電気自動車を購入する際には、考慮するといいかもしれません。
蓄電池に電気を溜めておくことで、有事の際には、有効に使用することが可能になります。また、太陽光での発電システムを備えている場合は、送電が止まっても発電することができます。
災害時は、電気は重要になりますので、手動の発電機なども用意しておくと、スマホなどを充電するのに便利です。

家庭菜園だけでなく、プランターも利用する


お家の敷地に余裕がある場合は、家庭菜園を用意するのもいいです。果樹などは、手入れが少なくてもすむものもありますので、タイミングによっては、実をそのまま利用することもできるでしょう。
ベランダやウッドデッキには、プランターを使って、野菜を育てておくのもいいことだと思います。
お庭や外構を設計する際には、そんな考慮もしておくと、安心がひとつ追加されることになります。

 

災害や有事の際に利用できる設備をそなえた施工例

レンガの家-007 グランコート(パティオとリビングが一体的に使える平屋のお家)


地下室のある平屋のレンガのお家です。
地下室は、シアタールーム、フィットネス、カラオケルームとしても使えるプレイルーム的なお部屋になっていますが、防音を備えているので、有事の際には、避難場所として利用することも可能です。※より高性能の換気空気清浄機の設置が必要になります。
外観の煙突からもわかるように、リビングには大きな暖炉を設置しています。暖炉周りのマントルピースはレンガをもちいて、壁から柱まで1面をレンガになっているので、空間のアクセントとしても機能しています。天井は木を用いて温かみのあるイメージになっています。煙突が二本あることからもわかるようにゲストルームにも暖炉を備えています。こちらのマントルピースは、大理石調。燭台などをおくことで、洋風のイメージを膨らませています。
壁は白を基調としていて、各部屋に大きな窓を備えているので、たっぷりの採光を実現しています。
トーリス式の柱を随所に用いて、欧風のインテリアの雰囲気を盛り上げます。
パティオ(中庭)には、リビングから段差なしに移動でき、アウトドアリビングとして、ご家族や来客者の憩いの場として利用されています。
このほかの画像は、こちらのページをご覧ください。

1stBASE-005 K様邸(特徴的な塔屋のあるガレージハウス)


シンボル的な8角形の塔屋が目を引く建物です。
玄関を入るとゲストルームとして利用できる塔屋とリビングルームとそしてマスターベッドルームまでは、リビングルームを通らずに移動できます。また、そのまま、洗面室(バスルーム)にも移動できます。ガレージは、もちろん直接室内に入れます。ガレージから入ると、洗面室、トランクルーム(納戸)の間を通るかたちになります。トランクルームには、クルマに使うものも置きやすくなっています。このトランクルームには、備蓄品を置いておくことが可能です。もちろん、ガレージ内も工夫することで多くの備蓄品を置いておくことができます。また、キッチンには、大きなパントリーを備えていますので、食品のローリングストックに最適です。
ガレージの外観は、全体にレンガ積み。様々な色彩のレンガを用いているため単一の色では、できない風合いを醸し出しています。このレンガ積みは、塔屋の下部まで続き家を一回りしています。白い壁とのマッチングが美しいアクセントとなっています。石畳のアプローチからエントランスのアーチも美しく全体にピッタリです。
塔屋の室内は、お客様をおもてなすティールームなっています。屋根にのるドーマー(窓)も室内に光を取り込むこともできます。
室内の壁にもレンガをアクセントに使っているので、味わいのあるインテリアに仕上がっています。
こんな洋風の家にも和室を完備しています。洋風の家でも不思議と和室はマッチするように純和風ではなくうまく室内の調和を保つように工夫をしています。
このほかの画像は、こちらの施工例をご覧ください。

1stBASE-028 N様邸(大きなキッチンのある青のお家)


鈴鹿の海の近くに建つ青い外壁が似合うお家。
大きなウッドポーチはワンちゃんの部屋からも出入りできるので家族みんなで楽しめます。1階部分は、階段2段分ほど高くなっているので、浸水が心配されるときなどには、高さの分余裕ができますので、落ち着いて避難することが可能になります。
もちろん、2階建てですから、万が一1階部分が浸水しても2階に避難も可能です。
将来英会話教室ができるように設けた1階の書斎は、生徒さんたちが自宅の玄関を使用しなくても出入りできるようにと屋根付きポーチを作ってあります。
リビングは大きな吹き抜けがありとても開放的です。また、吹き抜けにはキャットウォークがありかわいさを演出しています。
キッチンはキッチンハウスのオーダーキッチン!4口コンロや七面鳥が焼けるほど大きなオーブンを採用するなど、アメリカンな仕様になっています。ドラマに出てきそうな理想的で充実した設備のキッチンです。
また、蓄熱式床暖房が完備されているお家なので大きな吹き抜けがあってもポカポカでゆっくり過ごせます。
毎日の生活が楽しめ、災害にも安心なそんなお家ですね!
このほかの画像は、こちらの施工例をご覧ください。

 

どこまで備えるかを考えよう

全ての安全を確保するには?


すべての災害や有事に対して対策を施したお家を造ることも可能です。
ですが、費用が高額になったり、対策を優先するあまりに日常生活の使い勝手が悪いお家になってしまうこともあり得ます。
高増工務店では、何度もお打ち合わせすることで、お客様の希望を可能な限り実現していく提案をしています。
もちろん、充実した日常生活を実現するアイデアも欠かせません。お家は、住んでいるご家族が楽しく安全に生活するベースとなるものと考えています。
多くの施工例に裏付けされた安心安全に関わるアイデアはたくさんあります。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。相談したからといってしつこい営業をすることはありませんので、不明なこと、不安なことなどぜひ一度、お話を聞かせてください。高増工務店は、半世紀にわたり、四日市市を中心に施工しています。お客様の要望も時代と共に変化してきていますが、建物、敷地、予算など何か問題が発生したときでも、解決方法は必ずあります。お客様の希望と予算と、想いをかたちにするお手伝いをいたします。


新築、だけでなくリフォームなどもお家に関するお問い合わせ、ご相談を承ります。
「お問い合わせ・資料請求」「お家づくり相談」よりお気軽にお問い合わせください。・
また、完成したお家をじっくりご覧いただけるイベントや季節に合わせたイベントも定期的に開催しています。ご都合のよいときにご参加お待ちしています。

<  | COLUMN 一覧 |  >